平井陽一朗(BCGデジタルベンチャーズ マネージング・ディレクター&パートナー ジャパンヘッド)
平井陽一朗(BCGデジタルベンチャーズ マネージング・ディレクター&パートナー ジャパンヘッド)

前回は、企業変革の第一歩として、勝負する土俵の見極め方を述べた。この中で、私はあえて「土俵の見極めに時間をかけるな」と強調した。というのも、ここにたっぷりと時間をかけるあまりに、なかなか実行に移さない大企業が非常に多いからだ。
今回からは、企画を実行に移す、すなわち「やってみる」段階にフォーカスする。ここで最も重要なのは人材だ。デジタル領域において必要性が高まっているのはどのような人材か、どう獲得すればよいのか考えてみたい。

再掲:企業変革 4つの処方箋
処方箋1.スピード感をもって「勝負する土俵」を見極める
処方箋2.必要な組織能力を見極め、獲得する(今回)
処方箋3.獲得した人材が能力を発揮できる土壌をつくる
処方箋4.ぶれずに、やり続ける

企画は山ほどあるが、
なかなか実行に移せない大企業

 一般的に、「イノベーションの最大の難関は、いかに独創的なアイディアを生むかにある」と考える方が多いように感じる。しかし私の経験上、大企業はすでに「企画」を持っている。それも1つや2つではなく、たくさんの企画を抱えているのだ。その中のいくつかでも実行に移すことができれば、はかり知れない成長余地があるはずだ。しかし残念ながら、山ほどある企画をなかなか実行に移せない、あるいは着手してもすぐに方向性を見失い頓挫(とんざ)してしまうケースが多く見受けられる。

 なぜ「やってみる」ことができないのか?企業によりさまざまな事情があるだろうが、突き詰めると人材の問題にぶち当たる。伝統的な大企業は、戦略を考える力はあるが、いざ開発となったときに、特にデジタル領域において実装のスキルや経験を持つ人材が圧倒的に足りないのだ。