私は、CDOを設けるのであれば、一定の事業責任を負うべきだと考えている。事業本部長を兼務するほどではなくとも、「既存事業の収益をデジタル化によってxx%押し上げる」といったアグレッシブさがなければ、CDOが社内で受け入れられなる可能性は低い。また、CDOは多くの場合、既存事業とのカニバリゼーションの問題に悩まされる。収益貢献をデジタル単体で語るのではなく、全社トータルで見てどれだけ成長に貢献できているかを語る視点が重要だ。

 もし、あなたが事業責任を持たないCDOならば、まずは既存事業に対していかに価値を提供するかに全力を注ぎ、事業責任の一端を担えるよう(自身も相応の覚悟をもって)交渉すべきだろう。外部からCDOを招へいする場合も同様で、アドバイザーではなく、事業の責任を担う立て付けにすべきだと思う。

Q11. ベンチャーから大企業に転職したものの、組織作りに苦戦中。成功事例は

 ベンチャーから大企業に転職した方は、組織の縦割り感や、そこに端を発する調整事項の多さ、その結果としての意思決定の遅さに驚くことだろう。しがらみの多さに「大企業を変えることなど無理だ」と絶望的な気持ちになるかもしれない。

 実際、多くの大企業が組織変革には苦戦している。日本企業のDXの成功率が14%にとどまるというBCGの調査でも、根本的な原因の一つに組織課題を挙げている。

 私が最近支援してきたいくつかのプロジェクトを通じて、いくつか「芽がある」と感じる組織づくりのパターンをご紹介したい。

 1点目は、これまでにも繰り返し述べてきた「出島」だ。本社とは異なるガバナンスを持ち、変革をスピーディーに推進する。特に近年パワフルに変革を進めている出島の共通点は、本社からの独立性が極めて高い点だ。たとえば、トップには社外から外国人経営者やエキスパートを据え、新たな人材を積極的に採用する。あるいは、買収や資本提携を通じてケイパビリティを獲得した後も、本社から人を送り込むことなく、買収先の経営を尊重する。「全社トータルで見れば、新たなケイパビリティを獲得できている」と割り切ることで、非常に速いスピードで変革を推進している。

 2点目は、同じく出島ではあるが、段階的に本社に吸収するパターンだ。出島の規模が小さい初期段階では、別ガバナンス・別ロケーションの新組織を設立し、治外法権的に活動させる。人員がある程度増えて、デジタル・ケイパビリティが高まったら、現場レベルでの相互交流を促し、既存メンバーとの融合をはかる。