田原総一朗氏Photo by Hasegawa Koukou

「日本の生き字引」ともいえる稀代のジャーナリスト・田原総一朗氏。菅義偉首相との意見交換後、その熱が冷めやらぬ翌日に会い、コロナ禍の日本政府の対応、安倍前首相との会話、森元首相の東京五輪・パラリンピック会長の辞任、日米同盟と安全保障、そして菅首相への提言など、田原氏の洞察に富んだ持論を聞き出した。(聞き手/ダイヤモンド編集部 長谷川幸光)

「受け身の日米同盟」から
「主体的な日米同盟」へ

――田原さんは今の日本に何か危機感を持っていますか?

 安全保障でしょう。これまでアメリカに委ねて、日本は考えてもこなかった。でも今は世界がこのような状況になって、安全保障をアメリカに頼ることもできない。さすがにもう考えざるを得なくなった。

――日本はアメリカに頼らない道を進むべきということでしょうか。

 そうではない。これまでの日米同盟は、言ってみれば「受け身の日米同盟」。アメリカに安全保障を委ねて、その代わりアメリカと仲良くしましょうというもの。これを、お互いが頼り合う「主体的な日米同盟」にしなければならない。

――そのためには日本はどのような行動を取るべきでしょうか。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)との関係を強化する必要がある。ミャンマーでクーデターが起きたでしょう。あれは米中対立が大きく影響していて、僕は背後に中国がいるのではないかと思っている。ミャンマーだけでなく、ASEANの国々は米中対立の中でどのように振る舞えばいいか、迷いに迷っているのだ。

 日本はASEANとの関係を強化して、太平洋の平和を守ることを約束する。そうすればアメリカはこれに賛成するだろう。そして日米同盟をこれまでの受け身の同盟から主体的な同盟にする。このことは菅首相にもお伝えした(※田原氏は取材前日、菅義偉首相と会って意見交換している)。