下日野社長も「いすゞとはライバル関係を超えて協調していく。今や物流の課題としてドライバー不足、輸送効率化、カーボンニュートラルが挙げられ、国内6万社を超える物流事業者が苦しんでいる。使い勝手の良い電動車普及は輸送効率向上につなげていくには、個社を超えた協調領域が求められる」と、物流業界がコロナ禍にあって直面する課題への対応には競争とともに協調が必要であることを主張した。

 3社が設立する「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」はトヨタ80%・いすゞ10%・日野10%の出資で、トヨタの中嶋裕樹CVカンパニープレジデントが代表取締役社長に就任する。トヨタが主導する形となるが、これも豊田章男社長による「日本自動車工業会を中心とする日本の自動車業界全体がカーボンニュートラルなどの課題に取組んでいく必要がある」ことの表れであり、社名からもわかる。

 豊田章男トヨタ社長は、自工会会長でもあり、今回の動きも「片山いすゞ社長は自工会副会長、下日野社長は自工会大型車特別委員会委員長でもあり、物流業界の課題・社会対応へ手を組むことになった」こともあえて会見で語った。

 これにより、乗用車では子会社のダイハツと、スバル、マツダ、スズキがトヨタグループとなる一方で、商用車も子会社の日野に加え、UDトラックスを統合するいすゞがトヨタグループ入りし、「日本自動車軍団」が形成されることになった。

いすゞは
「旧自動車ご三家」と言われた名門

 今回、再度トヨタと資本提携に踏み切ったいすゞは、1916年創業で日本自動車メーカー最古の歴史を持ち、「旧自動ご三家」と言われた名門だ。

 1971年から35年にわたった米GMとの資本関係を解消した後、トヨタと資本提携したことについて、当時のいすゞのトップから「GMという大きな傘がなくなった以上、どこかと組まなければ生き残れない」と聞いたことがある。

 もっとも、2006年にトヨタがいすゞに5.89%を出資した資本提携は、先述したように、トヨタはいすゞのディーゼルエンジン技術を欲しかったためであった。その後、両社の連携は解消、いすゞはトヨタグループと距離を置いたかに見えたが、トヨタのEVプロジェクトとしてのEV共同技術開発合弁会社「EVCAS」(20年6月に解散)にいすゞが参画した流れもある。

 つまり、いすゞはトヨタとの資本提携は解消したものの、技術開発での協業面で「付かず離れずの関係」を維持していたわけだ。