集中力が落ちた。
あの頃は、もっと没頭できたのに――
私たちは今、スマホやPCに1日平均11時間を費やしていたり、リモートワークによる働き方の変化に追われていたりします。
「人のパフォーマンスを可視化するメガネ型デバイス JINS MEME」「世界で一番集中できる空間 Think Lab」などを手掛けてきた井上一鷹氏の著書『深い集中を取り戻せ』では、集中のプロとして、「これからどのように働けばいいのか」「どうやってパフォーマンスをあげるのか」を語ります。
脳科学的に、「やらされ仕事は4ヵ月しか続かないけれど、やりたいことは4年続く」と言われます。あなたが、夢中で何かに没頭できた体験。やらされ仕事ではなく、自らやってみようと思えたこと。何が原因かわからないけど、いつの間にか、『深い集中』が失われたすべての人へ、ノウハウをお伝えします。
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「オフィス」を手放していく時代
人は深い集中に入るまで「平均23分」かかります。
それなのに、オフィスでは「平均11分に1回」も話しかけられたり、電話やメールやメッセージが来ます。
それに反応しないことも大事ですが、そもそも「どの場所で働くか」を考えておかなくてはいけない時代です。
まず、「働く場所」から考えていきましょう。
「〇〇社」という会社法人のシンボルマークを頭の中でイメージしてみてください。おそらく「ビル」のアイコンを想像するでしょう。
我々、ビジネスパーソンは、「オフィスワーカー」とも呼ばれます。
しかし、アフターコロナ時代では、この呼称が確実に変わるでしょう。オフィスに行くことが、社員である証明ではなくなるからです。
「法人のシンボルマーク」と「個人の呼び名」が変わるのですから、大きな変化が起こるのではないかという実感が湧きますね。
そう言うと、「いや、それって東京や一部の都市の世界のことでしょう?」などと思う人もいるかもしれません。たしかに、リモートワークの導入の度合いと実現するタイミングの違いなどはあるかもしれません。
入社から退職まで、一度も会社に行かないということは稀有でしょうし、一気にすべての会社がオフィスをなくすわけではありません。
しかし、大きな流れとしてその方向に動くことには変わりないでしょう。毎日必ず始業から終業までオフィスに縛られるということはどんどんなくなっていきます。
私の知るスタートアップ企業では、10人規模であれば、ほとんどがオフィスを返上しています。
付き合いのある大企業でも、今のオフィスの賃貸契約が何年なのかを経営層が気にしており、テレワークを基本としたワークスタイル導入に舵を切っている会社を多く見受けます。
これは、自社ビルを持っているような会社でも同じ力学が働くでしょう。
優秀な人ほどオフィスワーカーでなくなる
さらに、「オフィスがなくなっていく流れだ」と断言する理由は、2つあります。それが、
・生産性向上による競争力獲得のため
・優秀な人材の採用のため
です。
1つ目の生産性向上の観点では、オフィスの賃料と交通費の削減と時間あたりの生産性向上が明確なので、半分以上の仕事は確実にテレワークになります。
特別な発想をするための会議や、企業への帰属意識を高めるための仕組みとしてのみ、オフィスの機能が残るでしょう。
2つ目は、人材採用の観点からです。
今後、テレカン(リモート会議)が仕事のベースにシフトすることで、「付加価値の高い仕事をする人」が誰なのかが浮き彫りになります。
そういった優秀な人が、副業や複業をしやすくなる場所を求めることで人材の流動性が急激に高まることが予想されます。
優秀な人であればあるほど、より効率的に複数のタスクを回せる環境を好みます。それを用意できない会社は、採用に苦しむでしょう。
以上の2つの観点から、特に「知的生産活動系」の仕事をする人たちは、オフィスワーカーという呼び名とはかけ離れていくはずなのです。