「朝食後に仕事をして、昼食を食べて少し休憩、午後にまた仕事をして夜ご飯もちゃんと食べるというサイクルを作れれば、リモートワークでも生活のリズムが整います。起床と就寝時間、食事の時間を自己管理できれば仕事の切り替えにつながるんです」

 食事の内容も体が温まる食材を取り入れるのがコツ。ショウガに含まれるショウガオールやニンニクのアリシン、タマネギのケルセチンなどの体を温める栄養素を意識的に取ろう。

「野菜類はたくさん食べても太りにくいので、積極的に取ってほしいです。調味料に料理酒を使えば食材の味を引き立てるだけでなく、少量のアルコールが副交感神経を優位にして末梢の血管を広げることがわかっています。冷え対策にもなり野菜を手軽に毎日とれて、カロリーも抑えられる料理酒と水だけの『料理酒鍋』などはおすすめです。以前に私が参加した実験(*)では、だし鍋より料理酒鍋を摂取した方が、皮膚の温度を持続的に上昇させるという結果も得られています。春に鍋物を食べるのは難しいかもしれないので、煮物もおすすめです。また、自分で料理をすると気分転換にもなるので、自宅で仕事をしている人こそ自炊してほしいです」
(*)…日の出料理酒鍋の温まり効果に対する実験

 今後、リモートワークが終了する企業もあるかもしれないが、一部の企業はリモートワークを継続的に実施する可能性もある。そのため「自分の会社がフルリモートに切り替わっても対応できる柔軟さが必要」と、古賀氏は話す。

「中高年の人は長年の通勤生活に慣れていると思います。しかし、私たちの働き方は確実に変革期に入っているので、よりフレキシブルに対応する必要があります。快適にリモートワークができれば、冷えの悩みも仕事の悩みも解消できるかもしれません」

 冷え性を甘く見ると、仕事にも支障をきたす。温かくなってきた今こそ、男の冷え性を改善するチャンスだ。

監修:古賀良彦(こが・よしひこ)
精神科医、杏林大学名誉教授。医学博士。1971年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部精神神経科学教室を経て76年に杏林大学医学部精神神経科学教室に入室。同教室の主任教授を務めたのち、2016年より現職。産業医として働く人のストレスに長年向き合い、生活に密着した心身の不調についての研究を行う。