コロナ禍に伴う“巣ごもり特需”に沸く動画配信サービス。米ネットフリックスなどの大手が順調に会員数を伸ばして収益を上げる一方で、波に乗り切れない企業がある。特集『戦慄のK字決算』(全17回)の#14では、勝ち組のはずの動画配信業界で、出遅れている企業の課題は何かを探る。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
ネットフリックス創業者が的中させた
コロナ禍で高まる人々のニーズ
今からちょうど1年前のことだ。新型コロナウイルス感染症が各地で猛威を振るう中、世界ナンバーワンの有料動画配信サービス、米ネットフリックス創業者のリード・ヘイスティングスCEOは2020年4月の決算会見の席上でこう言い切った。
「多くの人と同じく、私たちは不確実性の中にいる。ただ確実なことは、インターネットは成長を続け、人々はエンターテインメントを求めている」
その言葉通り、ネットフリックスは20年12月期に有料会員数を前期から2割以上伸ばし、全世界で2億0366万人に達した。21年1~3月期も前年同期比13.6%増の2億0764万人となり、絶好調をキープしている。
コロナ禍を追い風にしたのは、ネットフリックスだけではない。最大のライバルともいわれる米ウォルト・ディズニーの「ディズニープラス」は、19年11月にサービスを開始。その直後にコロナ禍に見舞われたものの、会員数を順調に伸ばし続け、わずか1年4カ月で1億人を突破した。
外出自粛で持て余した時間を使おうと、人々はこぞって有料動画配信サービスの会員登録をしたというわけだ。多くの企業がコロナ禍で業績を落とす中、動画配信ビジネスは“勝ち組”の筆頭格になった。