一口に「音声市場」と言ってもいろいろなサービスがあり、大きく5つのジャンルに分けられる。そこで、特集『急拡大!音声ビジネス』(全5回)の#2では、各ジャンルの代表的なサービスを例に挙げ、取材を基に作成した最新の4象限マップと比較表からプレーヤーの強み、資金力など12項目を整理していく。これさえ読めば、音声市場の今が分かる。(ダイヤモンド編集部 塙 花梨)
5つのジャンルに分かれる音声市場
新旧入り乱れての戦国時代に
1月下旬の日本上陸以来、大流行している音声SNS「Clubhouse」をきっかけに、注目が集まっている音声市場。実は、音声市場にはさまざまなプレーヤーが存在し、ラジオ局から世界的な大手企業、そしてスタートアップ企業まで、新旧が入り交じる構造となっている。
音声業界と一くくりにされてしまいがちだが、「地上波ラジオ」と「ネット向け」というシンプルな区分けでは不十分だ。現状では大きく5つのジャンルに分かれており、それぞれもうけの構造やサービスの特徴が全く異なるためだ。
そこで今回、この5つのジャンルを、縦軸は「配信側の制作コスト」、横軸は「双方向」か「一方向」かで分類してみたのが下図だ。
それでは、5つのジャンルの特性を解説していく。
1.マルチプラットフォームでRSS配信できる「ポッドキャスト」
ポッドキャストは世界中で利用されているインターネットラジオのこと。放送局だけでなく、一般人でも配信することができ、配信されたポッドキャスト番組は、「Apple Podcasts」や「Spotify」などポッドキャスト対応のアプリで、無料で聴くことができる。
スマートフォンやスマートスピーカーの浸透などもあり、ポッドキャスト市場は右肩上がりで伸びており、米国の調査会社Edison Researchが2019年に行った調査では、「月間でポッドキャストを聴いている」層が、米国ユーザーの32%に当たる9000万人相当だというデータも出ている。
05年、ポッドキャストの配信を最初に開始したのがAppleだ。そこから市場が拡大するとともに、音声広告や課金モデルなどマネタイズへの可能性に目を付け、15年にSpotify、18年に「Google Podcasts」アプリがローンチ、さらに20年に「Amazon Music」が新規参入した。
特にSpotifyは、先陣を切って力を入れており、19~20年にかけてポッドキャスト関連企業を5社買収し、配信者を育てるプログラムやオリジナルコンテンツの制作も行っている。
以降では残りの4つのジャンルについて解説する。さらに、5ジャンルに属する日本と海外の11社を、ユーザー数から資金力まで12項目で徹底比較。さらに、日本勢の経営トップが「クラブハウスをどのように受け止めているのか」というコメントも記載した(下の表のサンプル参照)。