K字決算#13
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コロナショック後のリカバリーで圧倒的な強さを発揮しているトヨタ自動車。日本では向かうところ敵なしの独走態勢を築こうとしている。だが、世界的な脱炭素シフトで電気自動車(EV)が自動車の主役になろうとしている今、トヨタのEV出遅れが懸念されている。特集『戦慄のK字決算』(全17回)の#13では、四つの指標を基に自動車メーカー9社の生存能力を徹底分析。「トヨタ一強」を阻む意外な自動車メーカーが浮上した。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

世界の脱炭素シフトでEV爆走
HEV主体のトヨタ独走態勢の転換点

 トヨタ自動車の復調ぶりが鮮明になっている。2020年の世界新車販売は953万台(ダイハツ工業や日野自動車を含む)となり、2位の独フォルクスワーゲンを抑えて5年ぶりの世界一に返り咲いた。

 この4月以降、半導体大手ルネサスエレクトロニクスの那珂工場の火災や北米寒波などで半導体不足の懸念が高まっており、自動車生産に悪影響を与えることになりそうではある。それでも現時点では、半導体の調達不足が自動車メーカーの構造的課題になるとまではいえない状況だ。

 自動車の世界販売の首位・2位市場である中国・北米では中古車相場の上昇も手伝って、新車需要が急回復している。そして米中の両方で販売を伸ばしているトヨタが実力の違いを見せつけており、国内自動車業界ではトヨタの独走体制が鮮明になりつつあるのだ。

 それでも、世は乱世である。ガソリン車から電気自動車(EV)を主軸とする電動車へ、製造主体からモビリティサービス主体へ、自動車部品の垂直統合から水平分業へ――。自動車産業には、ビジネスの旧来構造からの脱却を急かす破壊的変革が押し寄せている。乱世に主従逆転が起きるのは世の常だ。

 強者こそ、素晴らしいレガシーを抱えているだけに変革に後ろ向きになりかねないという事情もある。その代表的遺産がハイブリッド車(HEV)という世界有数の技術であろう。HEVを世に送り出したトヨタこそ、EV重視の戦略へ転換しにくいアキレス腱を抱えているともいえるのだ。

 そこでダイヤモンド編集部では、コロナ後の販売回復度やEVを中心とする先行投資の増減率などの「4指標」で、自動車メーカー9社の生存能力を徹底分析した。

 その結果、「トヨタ一強」態勢を撹乱する意外な自動車メーカーが浮上した。