しかし、顎関節症の4つのタイプのうちの1つは、関節を動かす筋肉の炎症で発症します。それぞれのタイプの特徴を見ていきましょう。

4つのパターンによる
原因・症状・治療

(1)筋肉痛タイプ:筋肉の張り・こりにより発症

 顎関節を動かす筋肉の痛みによって、顎に痛みを感じたり、口を開けにくくなることがあります。頬骨あたりから頭の横にかけての筋肉(側頭筋)と、顎から頬にかけての筋肉(咬筋)が、口を動かしたり食べたりするときに重要な筋肉です。このどちらか、あるいは両方が緊張して炎症を起こし、張りやこりとなって発症するタイプです。

 炎症を起こしている筋肉に負荷がかかると痛みが出ますし、口が開きにくくなります。側頭筋の炎症は片頭痛を起こしたり、咬筋の炎症は頬のだるさ、重さ、腫れぼったさを感じたりすることがあります。押すと痛みが出るので、どの筋肉が傷んでいるのか判断できます。

 筋肉をほぐすのが効果的ですので、マッサージや口を開け締めするストレッチを行うと良いです。慢性的な肩の筋肉のこり(肩こり)が治りにくいように、顎の筋肉のこりも症状が数カ月続く場合は、治りにくくなっている可能性があります。

(2)ねんざタイプ:顎関節の中で炎症が起きて発症

 関節には骨の他に軟骨や靱帯、関節包などの組織がありますが、これらに無理な力がかかり傷めてしまうことを「ねんざ」と言います。顎関節に無理な力がかかり関節を構成する組織を傷めてしまい発症するタイプです。

 ねんざしている顎関節に痛みが出て口を開けづらくなり、さらに関節の滑りを良くする滑液の滑りも悪くなり炎症が進行します。耳の手前の凹みの部分を指で押すと痛みがあるのが特徴で、進行するほど口は開けにくくなります。安静にすることが大切なので、痛みを感じない範囲で口を動かすようにしましょう。必要に応じて、炎症を抑える薬を服用することもあります。