【キーファクター4:Deploy(活用する)】
スキルの実践性を確かなものにする

 この連載コラムの第1回から繰り返してきたとおり、デジタル時代のリスキリングには、DXで新しく生まれる仕事に必要なスキルを獲得してもらうという明確な目的があります。そのため、実際に新しいスキルを獲得した人が、新しい仕事で成果を生めるようになったかどうかを確認することが大切です。それは、リスキリングという学習プログラムの効果を測定することでもあります。

 リスキリングにおける効果を測定する際、通常の研修のように、受講者の満足度や習熟度を単に測るだけでは十分といえません。実際の仕事でそのスキルを活用できたか、それは成果を生んだかをしっかりと観察する必要があります。そのためには、獲得したスキルを用いて生み出すべき「具体的なアウトプット」を先に決めてアサインすることが重要です。これらのことを実現するには、リスキリングを統括する部署とDXを推進する部署の密な連携が欠かせません。

【キーファクター 5:Accelerate(促進する)】
学習を促進するしかけを埋め込む

 従業員の自由意思に基づく個人でのオンラインでの学習は、修了するまで続けることが難しいという研究結果があります。つまり、リスキリングでも、途中で学習から離脱させてしまわないようにするしかけが重要です。

 そのしかけのひとつとして、リスキリングでのスキル獲得と社内におけるキャリア形成をセットにして、学習のインセンティブを高める方法があります。キーファクター3で示したように、リスキリング後に仕事や働き方がどう変わるかを示すだけでなく、今後、どのようなキャリア形成につながるのかを併せて明示することで、個人の学習意欲を刺激できます。

 また、そのスキルは社内に限定されず、社外でも通用するものであることを示せれば、社外をも視野に入れた中長期キャリアの形成に役立つとわかり、それも人々の学習意欲を喚起できるでしょう。