リスキリング写真はイメージです Photo:PIXTA

企業がDXを推進するために欠かせない、従業員のデジタルスキルを獲得させる取り組み「リスキリング」。リスキリングを成功させるためには、前回紹介した4つのステップでリスキリングプログラムを設計するだけでなく、周辺の環境や条件を整える必要がある。そこで今回は、リクルートワークス研究所の「DX時代のリスキリング」プロジェクトの研究を通して明らかになった8つのキーファクターを、リクルートワークス研究所の孫亜文アナリスト/研究員が解説する。

【キーファクター1:Lead(導く)】
経営トップがトランスフォーメーションの方向を示す

 リスキリングは、DXという大きな戦略転換の要といえる取り組みです。ですから、リスキリングの方向性を決めるためには、まずDXの方向性を明らかにする必要があります。

 それを示すのが、企業のトップの役目です。つまり、経営陣自身がデジタル技術には何ができるのかを理解し、そのうえで、デジタルで自社をどう変えたいのか、大きなビジョンを描かなければいけません。

【キーファクター2:Design(描く)】
人事がビジネスパートナーとして人材戦略を描く

 企業のDXの方向性が決まれば、それを受けて人材戦略を決めることになります。この人材戦略の策定は、経営戦略を人的資源の面から支える人事部が担います。そのためには、人事のトップが経営ボードの一員として、社長の戦略を共有していることが重要になります。

【キーファクター3:Show(示す)】
スキル獲得後の職務と仕事がどう変わるか具体的に示す

 リスキリングを順調に進めるためには、従業員が前向きにスキルの転換に臨んでくれなければなりません。そのためには、あらかじめ学習後の変化を示すことが有効です。

 どんなスキルを身につけてもらい、どんな仕事をしてもらいたいと考えているのか。それがその人自身のキャリアにどういう影響を与えるのか。短期的な変化のみならず、中長期的な変化も踏まえて明らかにし、不安なく新しいスキルの獲得に挑めるようなナビゲーションが必要です。