ロシアの侵攻に備えよ、スウェーデンが市民を啓発
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 北欧のスウェーデンでは、当局が市民を対象に10年前なら想像もできなかったような危機を想定した訓練を行っている。ロシアによる軍事侵略だ。

 冷戦時代には、市民も企業も国家防衛において果たすべき役割を心得ていた。ただ、冷戦時に比べると、ロシアによる侵攻は可能性が低いと米国や欧州の同盟国は考えている。

 だが、ロシアは中国と同様、武力衝突までは至らないサイバー攻撃や偽情報などを通じて、欧米諸国に分断をもたらし、弱体化しようと狙っている。こうした中、とりわけ地理的にロシアに近い小規模な国は警戒を強めており、政府主導で経済や社会の耐性を強化しようとする動きが広がっている。

 北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は先頃、「戦争と平和の境界が見えにくくなっており、偽情報やサイバー攻撃、中核インフラのぜい弱性など、多岐にわたる手段で揺さぶりをかける敵国から多方面で挑戦を受けている」と述べている。

 ロシアがウクライナの一部を掌握した2014年、スウェーデンは社会全体が侵入者に抵抗できるよう、「全面防衛」と呼ばれる冷戦時代の国防計画を引っ張りだし、現代版に刷新した。啓発運動やさまざまなシナリオを想定したロールプレーイングを活用することで、全面戦争からパンデミック(疫病の世界的大流行)、サイバー攻撃までのあらゆる危機下で市民や企業が自己防衛できるよう備えることが目的だ。