バイデンとトランプの
対中政策の違い
――3月18日と19日に行われた米中外交トップ会談は、お互い非難の応酬でした。その後、3月25日、バイデン大統領は、就任後初の公式記者会見を開き、中国の「専制主義」を厳しく批判。近年の米中対立を「民主主義」と「専制主義」の戦いとまで言い放っています。トランプ前大統領も中国には厳しく対応しましたが、バイデン氏とトランプ氏との対中政策の違いは何でしょうか?
トランプ前大統領は、太平洋の安全保障を米国だけで対応しようと、ヨーロッパとの関係もよくなかった。しかしバイデン大統領は、日本やヨーロッパなど同盟国との関係を大事にし、同盟国を巻き込んで共に太平洋の安全保障に対応しようとしている。そこがトランプとバイデンの大きな違いだ。
日本としては米国に任せていたい。ある意味、トランプが大統領の時はラクだった。しかしバイデンが大統領になったことで、そうも言っていられなくなった。太平洋の安全保障を「初めて」主体的に考えていかなければならなくなったのだ。
日本はあいまいにしてきた「有事」を
真剣に考えなければいけない時期にきた
――2022年の北京オリンピックや中国共産党全国代表大会が終わった頃、中国が何かしらの軍事行動を起こすという見方もあるようですが、台湾有事は実際に起こり得ると思いますか?
失敗したら習近平政権は終わりなので、そこは非常に慎重なはずだ。そうならないためにどうするか?今、真剣に議論しなければならない段階にきている。結論は出ていないが、日本政府は実際、議論している最中のようだ。
――田原さんは過去に習近平中国国家主席と会ったことがありますよね。どのような印象でしたか?
胡錦濤(前国家主席)政権の末期に会ったことがある。習近平が代表になる直前だった。北京で一対一で話をした。とてもジェントルマンな印象だったよ。民主的な考えがあって。またそのうち折を見て会いたいと思っている。
でも彼は変わってきた。日本はもはや有事に備えておかなければならない。日本はこれまで中国問題をあいまいにしてきた。コロナ禍もそうだが、有事を考えてこなかった。自民党も国会議員も「有事にどう備えるか」という問題をずっと避けてきた。しかし憲法改正を含め、真剣に考えなければいけない時期にきたようだ。