4月28日に行われた五者協議の様子4月28日に行われた五者協議の様子 Photo:Pool/gettyimages

新型コロナウイルスの国内重症者数は過去最高を更新。ワクチン接種は遅々として進まず、医療崩壊が起きているといわれる。にもかかわらず政府は、東京オリンピック・パラリンピックを強行する姿勢を崩さない。国内外の感染状況や金銭的、社会的コストの実情を踏まえれば、日本側の中止表明は早ければ早いほど、私たちが被るダメージは小さいといえる。(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会関係者 目黒一郎)

世論の6割弱が中止を訴える「社会悪」の五輪
菅首相、丸川大臣は実情を分かっていない

「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守ることが開催にあたっての私の基本的な考え方だ」――。

 5月10日の衆議院予算委員会で菅義偉首相は、野党議員の質問に何度も同じ答弁を繰り返しており、え、大丈夫か?と自分の目と耳を疑いました。質問に対する答えになっていないやり取りも多かったですし。菅首相には正しい情報が入っていないのか、正常な判断ができない状態なのか…。

 読売新聞が5月7~9日に実施した世論調査では、東京オリンピック・パラリンピックの開催について、実に59%が「中止」と回答。「観客を入れず」は23%、「観客数を制限して」は16%であり、まさに世論の6割弱が中止を望んでいる状況です。

 五輪は「平和の祭典」といわれてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している中、東京大会は今や一つの「社会悪」と化しており、それがアスリートや開催賛成派へのバッシングにつながっているように見えます。

 また、丸川珠代五輪担当相は同じ日の参議院予算委員会で、五輪を取材しに来る海外の報道関係者の行動管理について「指定されていない行動範囲を管理されない状況で、うろうろするということは絶対にない状況にしていく」と述べていました。

 詳しくは後述しますが、まずあり得ないでしょう(笑)。丸川大臣は本当にテレビ朝日のアナウンサーだったのかと思えるほど、報道機関の実態について無知だと言わざるを得ません。

 五輪組織委員会の内情を知る者として、日本国と日本国民、そして五輪やスポーツを愛する全ての人々にとっての最善策について、考えてみたいと思います。