盗撮行為を取り締まる迷惑防止条例はここ数年で改正され処罰が重くなった自治体もあるものの、全国統一での取り締まりを求める声は根強い。

 盗撮のニュースでは、しばしば犯人が「建造物侵入罪」で逮捕されることがある。盗撮行為そのものを処罰する条例よりも、刑法の「建造物侵入罪」の方が重い罪ではあるが、この罪による被害者は建造物の所有者であり、撮影された人が被害者にならない場合があった。

 盗撮が増え続ける事態に、法律が追いついていない。このような指摘は以前から行われていた。

現在検討中の
「性的姿態」に関する処罰規定とは

 法務省では昨年から、性犯罪に関する刑法改正のための検討会が行われており、この中で盗撮行為についての議論も行われている。

 4月に発表された取りまとめ案の中では、「性的姿態の撮影行為に対する処罰規定の在り方」(P39から)としてまとめられている。

 相手に気づかれずに盗撮する行為だけではなく、性暴力を行いながらその場面を撮影する行為などについても議論が続けられてきたことがわかる。検討内容は次のような行為だ。

 ア、強制性交等などの犯行の場面を撮影する行為
 イ、被害者に気づかれずに撮影する行為
 ウ、アダルトビデオへの出演の強要など欺罔や威迫によって同意させた上で撮影する行為
 エ、ユニフォーム姿のスポーツ選手の胸部や臀部を殊更にアップにして撮影したり,脚を開くなどの特定の姿勢を撮影したりする行為
 オ、街で子供に声を掛けて水着姿やブルマ姿の姿態を撮影する行為

(イ)が、いわゆる盗撮についてである。議論の背景には、迷惑防止条例で処罰できなかったりする不都合が生じていたことにも触れられ、「全国一律に盗撮自体を規制することが必要である」と書かれている。