しかし、私は、決して「政治的センス」に恵まれた人間ではありませんでした。だからこそ、力のある上司や先輩を観察したり、多くの関係書籍を読みあさり、試行錯誤しながら「政治力」を身につけてきました。そして、営業部から編集部への異動を果たし、入社以来の夢だった新雑誌を創刊、軌道に乗せた後、事業部長としてさらに大きな仕事を動かす経験をすることもできました。

 人事コンサルタントとして独立してからは、クライアント先の社内力学を観察するとともに、数え切れないほどのビジネスマンの社内政治の「成功」と「失敗」を目撃。そこから、実に多くの教訓を得ることができました。

 近年、私は、若いビジネスマン、なかでも「課長クラス」の人々の相談を受ける機会が増えてきました。そして、その悩みの大半は、社内政治に関するものでした。しかし、探してみると、正面から社内政治を扱った本はありませんでした。

 そこで、書いたのが本書です。これまでに私が学んできた「社内政治」のエッセンスを一冊にまとめたものです。想定している読者は、課長以上の管理職、ならびに課長昇進が視野に入ってきたビジネスマンです。特に、「政治的センス」に恵まれていない、少し不器用な人々を想定しています。かつて、社内政治でカベにぶつかった、マネジャーになりたての自分へのアドバイスのつもりで書き上げました。

 本書を参考に、ご自分の「政治力」を磨いていただければ、きっと、あなたは社内におけるプレゼンスを高め、「正しいと思うこと」「やりたいこと」を実現するチャンスを手にすることができるはずです。

 どんな会社にも社内政治はあります。そして、「政治力」がなければ、管理職や、課長の仕事は成り立ちません。ぜひ、その現実と向き合って、充実したビジネスライフを実現していただきたいと願っています。

 2014年 高城幸司

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