14~17歳は死刑を科すべき事件を無期懲役にしなければならず、無期懲役を科すべき事件を10年以上~20年以下の懲役か禁錮刑とすべきとしている。ただし16歳以上は、被害者を故意に死亡させる殺人などの罪の場合、原則として逆送。18~19歳は死刑や無期懲役相当の場合、量刑の緩和措置を定めておらず、成人と同様に処罰される。

 今回の改正では、適用年齢そのものは引き下げず、すべての事件を家裁に送る原則は維持。特定少年の逆送事件を従来の殺人や傷害致死の罪に加え、強盗や強制性交など「法定刑の下限が1年以上の懲役か禁錮」の罪にも拡大。逆送後は20歳以上と同じ扱いとし、不定期刑を適用しない――としている。

 このほか、性格や環境など日頃の不良行為から将来、罪を犯す恐れがある「虞犯(ぐはん)少年」に家裁が更生に関わる制度の対象から外された。

 さらに、これが一番大きな改正だが、起訴後は素性の公表が可能となった。

特定少年の逆送数は
十数倍に増加の可能性

 少年法を巡っては前述の通り凶悪犯罪が起きる度、厳罰化を求める声が高まり、改正されてきた。

 戦後、初めて大幅に改正されたのは2000年。刑事罰の対象年齢が「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げられ、16歳以上が故意に被害者を死亡させた場合は逆送が原則となった。背景には97年に当時14歳だった中学生による「神戸連続児童殺傷事件」など、少年の凶悪事件が相次いだことがあった。

 04年には長崎県佐世保市で、当時11歳だった小学6年生の女子児童が同級生の首と手首をカッターナイフで切りつけて殺害する事件が発生。少年犯罪の低年齢化を指摘する声が上がり、07年の改正で少年院送致できる年齢を「14歳以上」から小学生も含む「おおむね12歳」に引き下げた。

 09年には、大阪府富田林市の河川敷で当時17歳の男子高校生が、15歳の男子高校生をバットや金槌(かなづち)で何度も殴りつけて殺害する事件が発生。11年に大阪地裁堺支部が判決で「少年法は狭い範囲の不定期刑しか認めておらず、適切な改正が望まれる」と異例の指摘をしていた。

 これを受けて14年、犯行時18歳未満の少年に無期懲役の代わりに言い渡せる有期刑の上限を「15年から20年」に、不定期刑も「5~10年」を「10~15年」に引き上げた。