また、上司の接し方についても、従来よりも新入社員の話を傾聴し、信頼関係を築くアプローチが効果的だ。

 お互いの様子が見えず、即座にレスポンスすることが難しい在宅勤務では、上司がトップダウンで指示を出し、仕事の話ばかりするようなやり方では、新入社員が上司に相談しづらくなったり、孤立感を感じて意欲が低下したりといった課題が生じやすい。上司の方から歩み寄りの姿勢を見せ、新入社員の話を傾聴し、新入社員が気兼ねなく話せるようにすることが、いつも以上に大切だと考えられる。

 例えば、新入社員の成長や定着を促す上司の行動について調査データを分析すると、週3日以上の在宅勤務では、「上司にプライベートな話も聞いてもらっている」新入社員の方が、成長や定着の度合いが良好な傾向があった(図3、図4)。このような傾向は、週5日出社していた新入社員には見られなかった。

 常識的には、上司が新入社員のプライベートを聞くことは、一歩間違えればハラスメントになる危険があり、あまり良くないことのように思える。しかし、こと在宅勤務においては、そうしたことに注意しながらも、新入社員が上司にプライベートな話もできるほどの堅苦しくない信頼関係を築くことが、プラスに働いていたことがうかがえる。