デジタル給与写真はイメージです Photo:PIXTA

今年初めに話題となったデジタル給与払い。電子マネーを使った給与払いが果たして、利用者のメリットを増やすのか?10の観点から検証した。(沼津信用金庫 参与 佐々木城夛)

給与は「直接支払い」と法律で規定
デジタル給与払いは本当に便利なのか?

 サラリーマンやOLが現在、銀行口座で受け取っている給与を、「PayPay」や「LINE Pay」のような電子マネーで受け取ることができるのでしょうか?いわゆる「デジタル給与払い」です。

 実は、労働基準法24条で「賃金は、通貨で直接労働者にその全額を支払わなければならない」と規定されています。厳密に言うと、給与は(1)「通貨」で、(2)「直接」、(3)「全額」を、(4)「毎月1回以上」の頻度で、(5)「一定期日」に、企業が労働者に払わなければなりません。これを「賃金支払いの5原則」と言います。

 現在当たり前である銀行振り込みも、実は例外的な措置なのです。では、デジタル給与払いも例外として認めるべきではないか、との声もありそうですが、これがなかなか簡単ではありません。次ページの図をご覧ください。