コンビニ金融#2Photo:kyodonews

コロナ禍とキャッシュレス決済の急速な普及で、コンビニ金融の牙城だったATMの利用件数がついに減少に転じた。足元で給与のデジタルマネー払いが現実味を帯び、現金需要がしぼむという構造転換の波に、小売り各社はどう立ち向かっていくのか。特集『コンビニ金融最前線』(全8回)の#2では、その実情に迫る。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)

利用件数が2020年度は初めて前年割れか
コンビニATMを襲う三つの不況

「現金のお引き出しなどをお急ぎの場合は、コンビニのATMをご利用いただきますようお願い申し上げます」――。

 2月28日、みずほ銀行で発生したATMの大規模障害。多くの利用客が困惑し、深夜まで復旧作業に追われたみずほ銀行が代替手段として推奨したのはコンビニのATMだった。

 セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの大手3社だけで、1日延べ4000万人以上もの人が来店するコンビニ業界。その強大な顧客基盤を生かしてコンビニ各社が展開してきたATM事業は、メガバンクも無視できない社会インフラへと育った。そんなコンビニATMが今、大きな曲がり角に差し掛かっている。

 これまで右肩上がりで伸びてきたコンビニATMの総利用件数が、2020年度は通年ベースで初めて前年度を下回る見通しなのだ。

 新型コロナウイルス感染拡大によるコンビニの来店客数の減少が大きく影響していることは間違いない。3社とも昨春以降、客数が前年対比で10%前後も減るという厳しい状況にある。

 しかしながら、コロナが終息すればATMの利用件数も順調に回復するかというと、事はそう単純ではない。もっと構造的で根深い問題があるのだ。

 コンビニATMを取り巻く「構造不況」の要因とは何か。それは大きく三つある。