これは都市圏の規模の違いもさることながら、前述したテレワークの導入率が特に首都圏において高いこと、また、規模の大きい企業、およびテレワークに親和性の高いIT企業や金融・保険系の企業が首都圏に集中していることも影響している。

 まさにテレワークの進捗・定着が、その地域に居住する労働者の居住意向、ライフスタイルの変化に直接的な影響を与えていると言っても過言ではない。コロナ禍を背景としたテレワークの進捗が、われわれの生活様式に大きな変化を与えていることは明らかだ。

 こうなると、コロナ後にこうした居住意向の変化がさらに変化するかどうかに関心が集まるが、筆者はテレワークの導入率は今後も高く維持されると想定している。

 というのも、テレワークは導入する企業側にも固定費の削減という極めて大きなメリットがあるからだ。

 テレワークの導入率が高まるほどオフィスに出社する就業者が減少するため、オフィス賃料も水道代や電気代といった光熱費も大きく削減可能であるし、社員の交通費も通勤が発生するごとに精算すればいいので、年間の定期代を支給する必要もない。

 また、テレワークを導入するために発生したコストは、こうした企業運営上の固定費とトレードオフであるため、コロナ終息後にテレワークを取りやめれば、再びさまざまなコストが発生することにもなる。

 コロナ後は、個人が実現したい生活様式に合わせた働き方と住まい方が選択可能な社会が到来することが期待される。

(記事は個人の見解であり、執筆者が所属する会社の見解を示すものではありません)。