不安に対処する3つのコツ(1)
不安は否定しないで「認める」

 先の見えない不安に押しつぶされそうな人にまず知ってほしいことは、「不安はゼロにはならない。不安はなくならない」ということ。不安を一方的に悪いものだと決めつけて、不安をゼロにするためにこれ以上消耗しないでください。それよりも不安の正体を知って対処するほうが効果的です。

 終わりも見えず、これといった抜本的な解決策も分からないときに、この先の生活や仕事、人生を考えて不安になったり落ち込んだりしてしまう――。これは、あなたの性格や自己肯定感の問題ではありません。脳の防衛本能が働いているだけです。

 脳は、非常時には身を守るために希望や期待よりも不安に対して強く反応するようにできています。前代未聞の状況の中では、一時的に不安になることはごくごく自然なことです。ですから、不安を感じているときは否定しないで受け入れてください。

 むしろ、本当は「不安・心配・怖い」といった防衛反応を脳が示しているのにスルーしているとしたら、その方が問題です。本当は不安なのに、「こんなことで不安になったりするなんてよくない」「大丈夫、たいしたことない」などと不安を否定しないでください。どんなに不安に襲われたとしても、冷静に受け止め、考え、対処することができれば、抜け出す方法はいくらでもあります。

 一番大事なポイントは、不安や焦り、恐怖、ショックなどを感じているときは否定しないでそのまま受け入れること。

「今は、不安を感じているんだね」「今は、ショック状態なんだね」と、自分自身の感情をニュートラルに受け止めてみてください。