「これからはアフリカの時代だ!」は本当?

宮路:とはいえ、地理的にもインドにアクセスしやすく、その先の東アフリカへの便も悪くない。

 中国や日本にもアクセスしやすい立地条件から見て、中継貿易で伸びていく可能性も十分にあります。シンガポールが中継貿易をやってきたことを考えると、ほぼ同じ位置にあるインドネシアにも大きな可能性があると思います。

──「これからはアフリカの時代だ!」なんて話もときどき耳にします。『経済は地理から学べ!』の中にも、中国資本とアフリカ経済の話がありました。今後、アフリカの経済発展に関してはどのように見ていますか?

宮路:東アフリカはこれからもっと成長するとは思います。中国資本がたくさん入ってきているので、成長することは間違いないでしょうね。

 ただ「中国資本頼み」は気になるところです。メキシコ経済が「アメリカ資本頼み」なのと同じように、自国で自立できないのは懸念材料として残ります。

 そういう意味でも、すでに経済成長が顕著ですが、自立できる土台が揃っているインドネシアは、今後ますます注目でしょうね。

「資源」や「立地」など、地理的背景を理解しておくと、いろんな見方ができておもしろいんですよ。だからこそ、もっと多くの人に地理を学んで欲しいと思っています。

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「インドネシア VS アフリカ」これから経済成長するのはどっち?宮路秀作(みやじ・しゅうさく)
代々木ゼミナール地理講師、日本地理学会企画専門委員会委員
鹿児島市出身。「共通テスト地理」から「東大地理」まで、代々木ゼミナールのすべての地理講座を担当する実力派。
地理を通して、現代世界の「なぜ?」「どうして?」を解き明かす講義は、9割以上の生徒から「地理を学んでよかった!」と大好評。講義の指針は、「地理とは、地球上の理(ことわり)である」。
生徒アンケートは、代ゼミ講師1年目の2008年度から全国1位を獲得し続けており、また高校教員向け講座「教員研修セミナー」の講師や模試作成を担当するなど、いまや「代ゼミの地理の顔」。2017年に刊行した『経済は地理から学べ! 』はベストセラーとなり、これが「地理学の啓発・普及に貢献した」と評価され、2017年度の日本地理学会賞(社会貢献部門)を受賞。大学教員を中心に創設された「地理学のアウトリーチ研究グループ」にも加わり、2021年より日本地理学会企画専門委員会委員となる。
またコラムニストとして、「Yahoo! ニュース」での連載やラジオ出演、トークイベントの開催、YouTubeチャンネルの運営、メルマガの発行など幅広く活動している。著書に『経済は地理から学べ! 』(ダイヤモンド社)、『目からウロコのなるほど地理講義(系統地理編)・(地誌編)』(学研プラス)などがある。
「インドネシア VS アフリカ」これから経済成長するのはどっち?