業績 再編 給与 5年後の業界地図#9Photo:Teera Konakan/gettyimages

特集『業績 再編 給与 5年後の業界地図』(全16回)の#9では、精密機器業界について各社が「最高益」を更新できるのか定量的に分析する。この業界はFA(ファクトリーオートメーション)・計測器・時計・事務機の四つのサブセクター(副業種)に分かれる。FA・計測器の好調が続きそうな一方、経営環境の厳しい事務機の中でリコーについては、このまま業態転換が奏功すれば再成長が見込めそうな姿が浮かび上がってきた。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

“競技が異なる”四つのサブセクター
将来の成長性と優劣を徹底予測

 高度で繊細な技術が要求される「精密機器」業界。そこには日本が長らく得意としてきたものづくり産業の中でも、世界と渡り合える優良企業が幾つも存在する。しかし、この業界にもDX(デジタルトランスフォーメーション)など、新トレンドが押し寄せている。5年後も今の姿のままではいられないのだ。

 精密機器業界は、超高収益キーエンスが絶好調な「FA(ファクトリーオートメーション)」、複数の会社が今期最高益を見込む「計測器」、カシオ計算機の「Gショック」などが世界的ブランドに成長した「時計」、複写機をはじめとした「事務機」の四つのサブセクター(副業種)に分けられる。精密さを売りとする機器を扱う点では同じであっても、具体的に手掛ける製品や領域は“競技が異なる”といえるような業界でもある。

 四つの中でも、特に厳しいのがコロナ禍以前からペーパーレス化という大逆風が吹き付けている事務機だ。キヤノン、コニカミノルタ、富士フイルムホールディングス(HD)、リコーがその主要4社となるが、この先はちょうど半々の2社ずつで、明暗が分かれそうだ。リコーについてはある条件を達成すれば、再成長が見込めるとの声も上がってくる。

 精密機器業界で伸び続ける企業とはどこなのか。次ページ以降、四つのサブセクターごとに「業界天気予報」「5年後までの営業利益予想」「5年ごとの年収比較」を具体的な数字で提示。「最高益」更新の可否という観点から、サブセクターごとの動向を分析する。