この先5年でさらに業界内格差が拡大しそうな日本の民生電機大手。完全復活を遂げたソニーグループについて、市場では成長加速を占う上で「アニメ」に注目との声がある。一方、混迷極まるパナソニックは「集約から解体」へまっしぐら。特集『業績 再編 給与 5年後の業界地図』(全16回)の#13では、そんな主要各社の未来像について、定量的な業績予想や事業ポートフォリオの変遷と共に分析する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
有力アナリストが断言
「パナソニックは解体」の未来
完全復活を遂げたソニーグループと低迷が続くパナソニック。名門電機2社の明暗の差は、本特集でテーマとする5年後を見据えても拡大する可能性が高い。
何しろソニーは、2021年3月期の決算で初めて純利益が1兆円を突破。売上高も約9兆円に増加し、かつてパナソニックが掲げた末に撤回した「10兆円」という水準が視野に入ってきた。それに対し、パナソニックは21年3月期決算で四半世紀ぶりに売上高が7兆円を割り込み、純利益はソニーの7分の1にとどまる。
民生電機業界を担当するSMBC日興証券の桂竜輔シニアアナリストは今後、「ソニーは一段と強さを増す一方、パナソニックは『集約から解体』へと向かっていくだろう」と話す。その上で、ソニーについては収益の柱であるコンテンツビジネスの成長を加速させる上で「アニメが一つの軸になる」と独自の見立てを示す。
ソニーはどこまで勢いを伸ばすのか。パナソニックはどこに向かうのか。次ページからは各社の5年後までの定量的な業績予想や事業ポートフォリオの変遷と共に分析していく。