業績 再編 給与 5年後の業界地図#8Photo by Masato Kato

直近10年で営業利益を5倍超に伸ばし、武田薬品工業を抜いて医薬セクターの時価総額で国内首位に躍り出た中外製薬。世界首位のスイス・ロシュとの提携メリットを発揮して創薬研究に集中、「画期的な新薬」を連発している。特集『業績 再編 給与 5年後の業界地図』(全16回)の#8では、中外製薬の奥田修代表取締役社長に中期戦略や再編を含めた業界の見通しを聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

巨大外資と提携も経営の独立性は維持
創薬研究に集中して画期的新薬を生み出す

――5年前(2016年12月期)と今期予想(21年12月期)を比較すると、売上高(4918億円から8000億円)、営業利益(769億円から3200億円)共に大きく伸びています。

 02年に始まったロシュと中外(製薬)の戦略的アライアンスというビジネスモデルが成功したと評価しています。特に15年以降ですね。

 自社の創生した医薬品がグローバルで発売されて、その売り上げが非常に大きく伸びました。時価総額も製薬会社としてはナンバーワンになりました。

――ロシュとの提携について、外野からは独立性を維持できるのかについて疑念もあったと聞いています。

 経営の独立性の保証、日本における上場の維持がスタート時の取り決めです。中外は自立していますので、経営判断を下しながらR&D(研究開発)に十分な投資ができます。

 実際、現在はロシュから派遣されている執行役員は一人もいません。それから取締役は9人いますが、独立社外が3人、ロシュが3人、中外の業務執行取締役が3人。

 ロシュが過半を占めているわけでもなく、取締役会もニュートラルな状態になっています。ですから、独立性を維持しながらお互いに第一選択権を持つというビジネスモデルが機能したと考えています。

 ロシュは世界ナンバーワンの製薬会社ですが、そこから作られる新薬、画期的な薬については日本で中外が第一選択権を持っており、日本で開発して販売します。そこが安定的な収益基盤になっています。

 われわれは創薬研究に集中した結果、自分たちで新しい画期的な薬を生み出すことができました。(直近10年で)3製品、4製品、グローバル製品を出せています。

 ロシュは中外品に関して、早期臨床開発が終わった段階で第一選択権を持っています。彼らの、世界に張り巡らされた開発、販売のネットワークを使い、彼らが中外品をグローバルで販売しています。

――御社の株価は直近10年で10倍以上になっています。ロシュの立場から見ると、保有株を売却したら巨額の利益が出ますが、それよりも御社の創薬力を期待して提携を維持していくのでしょうか。