パクリか、オマージュか

――いわゆる「パクリかオマージュか」の話ですね。

ひろゆき氏:自分の考えを入れずにそのままパクるのは、勝手に趣味としてやればいいと思うんです。ただ、世の中に発表したり、学業や仕事の成果物として出す場合には、コピー元をちゃんと理解するのが大事で、理解した上でアレンジを加えないとダメですよね。

 ただ、ここで大事なのは、出発点はどうでもいいということです。

 僕も、Webサービスを作るときは、他のサイトをコピーするところから始めます。まずは同じように作ってみて、そこから改善点を探っていく。コピー元をリスペクトして、自分がゼロから考えたフリをしないことも大事だと思いますね。

――それができない人が大半ですよね……。

ひろゆき氏:つい、自分の手柄として「100%、自分で考えました!」って言いたくなると思うんです。夜中、急に思いついたとか言って(笑)。

 でも、よくよく考えてみると、天才のように思いつくようなタイプのほうがじつはダメですよね。ちゃんと「コピぺ」ができる人は、自分から「コピペするに値するものを見つける」という行為ができているので、他の仕事を任されたとしても再現性があります。

 一方で、何もないところでゼロから思いつくような人は、仕事が変われば、一気に役に立たなくなります。天才的なメロディが急に降ってくるような人に、同じように天才的なWebサービスのアイデアは、おそらく降ってこないでしょうから。それに、才能が枯渇したり、急に何も思いつかなくなる可能性もあります。

 だから、優秀な仕事をするためには、ちゃんとコピペして、自分なりにアレンジして、そのアレンジの割合を10%、20%、30%……と高めていったらいいと思います。50%もアレンジできれば、それこそ立派なオリジナリティと呼べるでしょうから。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、24万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。