「強烈なインパクト」を残した映画

ひろゆき氏:小学生のときに観た『バタリアン』か『ポセイドン・アドベンチャー』ですね。すみません、1つではないんですが……。

 理由は簡単で、原体験として、人生に強いインパクトを感じたからですね。どちらの映画も、予想から大きく外れた結末なんですよ。「バッドエンディング」で終わるか、「見せかけのハッピーエンド」でモヤモヤさせるか。

 ほら、子どもの頃って、「桃太郎」のような絵本で昔話を読まされたりするわけですが、どれも「めでたし、めでたし~」のハッピーエンドで終わるじゃないですか。

 それによって、「そっか、物語はすべてハッピーエンドなんだな」と、一度、信じ込まされますよね(笑)。その前振りがあった上で、さっきのような映画を観ると、「思ってるのと違うじゃん!」となって強烈にインパクトが残ります。

――子どもの頃って、そういうものが受け入れられなかったりしませんか

ひろゆき氏:たしかに、「桃太郎」の結末を勝手にバッドエンドに変えて読み聞かせしたりすると、普通の子は怒り出すみたいですね。予想と異なることは「受け付けない」というのが、通常の反応なのかもしれません。

 その点、僕はわりとスッと受け入れられて、しかも面白さに変換できたんですよね。コーヒーとかビールって、最初は苦味があるから絶対に拒絶するようになっているんですが、どこかのタイミングで「この苦味がうまいんだ」と学習すると言われるじゃないですか。

 それと似ていて、僕の場合は「バッドエンド」を面白がるスピードが、人よりちょっと早かっただけなのかもしれません。そのせいでクセのある映画が好きになって、僕が「これは面白い!」と褒める映画は、大体、ヒットしなかったりもするんですが……(笑)。

――マイノリティさを感じるほうが、「趣味」としては合っているかもしれませんね

ひろゆき氏:そうかもですね。ベタで王道なものが好きだとしたら、毎日のようには観れませんから。とはいえ、「水戸黄門」や「男はつらいよ」とかを何度も楽しめるようなタイプの人はいますけどね。僕は絶対にそういう観賞はできません……。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、24万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。