セル方式、ベルトコンベア方式の
メリットとデメリット

 この考え方は様々な業務改善に応用できた。

 私が創業した頃は、ネット通販経験者がほとんどいない時代だった。

 そもそもネットでモノを買う人がいないのだから、ネットでモノを売る人はもっといない。採用しても経験者はいない。

 そこで、未経験者だけでも成果が挙がる組織づくりを考えた。

 A、B、C、Dの4つの部品から製品を組み立てる仕事があったとしよう。

 このとき、やり方は2つある。

 一つは本書図表38に示すセル方式だ。

リピート率7割の社長が挑んだ<br />物流パンク問題解決法図表38

 一人ひとりが4工程をすべて受け持って製品をつくる。

 この場合、一人ひとりの裁量が大きく、仕事でモチベーションと責任感が高まる。

 同時に技能も大きく向上し、現場の活性化につながる。

 一方で、作業者が複数の技術を高いレベルで習得する必要があるので、教育に時間とコストがかかる。

 A、B、Cを組み立てる3工程が得意でも、Dを組み立てる工程が不得意だと作業の品質が下がる。

 もう一つは、本書図表39に示すベルトコンベア方式だ。

リピート率7割の社長が挑んだ<br />物流パンク問題解決法図表39

 4工程の作業内容を分析し、それぞれ熟練者向きの仕事か、新人でもできる仕事か考える。

 また、各工程で求められる能力や技術を考える。適材適所で配置し、持ち場に特化して働いてもらう。

 この方式のメリットは、各人員が行う工程は範囲が狭いため、教育の時間とコストが抑えられる。

 4工程のうち一つできればいいので戦力化が早い。

 また、一つの工程に特化すると採用もしやすい。

 各自が得意な仕事に特化することで、全体のクオリティも高まる。

 その一方で、局所的な作業になるため、長い目で見たときに作業員の技量向上が望めない。

 単純作業になりがちなため、仕事への意欲が低下しやすいなどのデメリットもある。