ファナックPhoto:123RF

1~6月期、日本の工作機械受注額が前年同期比で71.2%増加した。ファナックや安川電機、DMG森精機など、世界の自動車や半導体の生産活動を支える工作機械や制御機器メーカーは、IT先端技術を積極的に活用することによって顧客企業の生産性向上を目指している。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

工作機械受注額が71.2%増
自動車や半導体生産を支える

 1~6月期、わが国の工作機械受注額(速報値)は前年同期比で71.2%増加した。受注の伸びを支えるのが中国や米国などの需要だ。3月以降は自動車生産を中心に国内の需要も増加している。それは、わが国経済の今後の展開を考える上で重要な意味を持つ。

 ポイントは、自動車や半導体などの生産を支える精緻な工作の技術がわが国の「コア・コンピタンス=強み」であることだ。わが国にはファナックや安川電機、DMG森精機など世界の生産活動を支える工作機械や制御機器メーカーが集積している。各企業に共通するのは、かつてリーマンショックや中国経済の成長鈍化などの環境変化に対応して成長したことだ。

 さらに、ファナックなどはIT先端技術を積極的に活用することによって顧客企業の生産性向上を目指している。足元の工作機械受注の伸びは、ファナックなどの新しい取り組みが世界から評価され、本邦の精密な工作機械メーカーが新しい需要を取り込みつつあることを示唆する。