囲み「財務部門が主導権を握るとどうなるか」
最近、我々は営業部門と財務部門がどのように協力しているかについての理解を深めるために、600人を超す戦略顧客担当マネジャーを対象に調査を実施した。
その結果、半数をわずかに超える企業で、特に戦略顧客向けに、財務部門と営業部門が共同で売上高や費用管理計画を策定していることが判明した(約4分の1の企業は、こうした計画策定は主に財務部門の業務であると回答した)。
ところが、戦略顧客担当マネジャーの約半数は、財務部門が自分たちの業務遂行能力の足かせになっていると述べた。会計年度末に財務部門が費用管理に乗り出しそうな時に(よくある戦術である)、どう対応するかと尋ねたところ、ほとんどの担当者が、おそらく顧客関係の出張旅費と交際費を前倒しで使うことを認めた。さらに、マーケティング費用の凍結を免れるために、前払いしようとするだろう、という答えが大半を占めた。
費用を管理すると、営業担当者はえてして、顧客の購買意欲が熟した時ではなく、社内ニーズに沿って顧客と商談を進めるようになる。
Thomas Steenburgh
バージニア大学ダーデン・スクール・オブ・ビジネスの准教授。マーケティングを担当。前職はゼロックスで、インセンティブ戦略に従事する。
マイケル・アハーン
Michael Ahearne
ヒューストン大学C. T. バウアー記念講座の教授。マーケティングを担当。セールス・エクセレンス・インスティテュートのエグゼクティブ・ディレクターを兼ねる。
鈴木泰雄/訳
(HBR 2012年7-8月号より、DHBR 2012年12月号より)
Motivating Salespeople: What Really Works
(C) 2012 Harvard Business School Publishing Corporation.