4.未来像の視覚化
「トップ層の人々は、ワシントンの擁護者を必要としない。それが必要なのは、私が夜ごとに手紙を読む人々、毎日遊説で出会う人々だ。ラスベガスのホテルで残業する料理人や清掃作業員、バイオテクノロジー分野のキャリアを目指して教育を受け直す55才の家具職人、教室にひしめく生徒たち一人一人に十分な時間が費やせないと話す教師。いつか大物になりたいと夢見るその子どもたち。事業を拡大し、従業員たちに報いようとする中小企業の経営者。
こういう人たちが豊かになれば、米国も豊かになる。今必要なのはそういう変革である。子どもたちの教育、労働者の訓練、雇用創出、新エネルギー、そして新たなチャンス。あなたが誰で、どこの出身で、どんなスタートを切ったとしても、努力すれば成功できる、そういう国であり続けられるために」
モンローの説得技法の最も大事な点は、未来像を視覚化することである。主張する解決策が実行された場合、どんな未来が待っているのか、目をつぶればその光景がイメージできるくらい具体的に描写することが大切だ。それにより、聴き手の心を一気に主張になびかせる効果を持つからだ。
オバマ大統領は、今、アメリカが手を差し伸べなければならない人たちについて具体的に触れ、どんな国から来た人も、どんな家に生まれた人も、どんな境遇にあった人でも、努力すれば幸せになれる国を築くという、未来像を明確に描いた。