「業務スーパーで売られている『アリョンカ』というお菓子が、安くておいしいとSNSで話題になっている」と聞いて驚いた。その少し前に、カルディで「スィロク」を見かけたばかりだったからだ。日本ではほぼなじみがないと思われるこのお菓子、実はどちらもソ連時代からある、現地では誰でも知っているおやつなのである。(イスラエル国立ヘブライ大学大学院・総合商社休職中社員 徳永勇樹)
業務スーパーで「アリョンカ」が売られている?
「最近、業務スーパーで売られているアリョンカというお菓子が話題なんですよ。ロシアのお菓子のようなんですが、ご存じですか?」と編集者に聞かれ、思わず目頭が熱くなった。筆者がロシア語を学んでいた10年前には、考えられない出来事だったからだ。
以前、「松屋、ファミマにも登場!日本で『ジョージア料理』が大ブームになりそうな理由」でシュクメルリというジョージア料理の日本進出について書いたが、ミニストップのチキンキエフ(ウクライナ料理)やナチュラルローソンのビーフストロガノフ(ロシア料理)など、ユーラシア地域の料理が、にわかに日本でブームとなっている。
料理だけでなく、デザートも続いている。上述のアリョンカチョコレートだけでなく、カルディコーヒーファーム(以下、カルディ)がロシアの伝統的なお菓子スィロクを「ロシアプレミアムチーズ」として販売。この地域に格別な思い入れのある筆者にとっては、是が非でも取り上げたいテーマだった。そこで今回は、ロシアのお菓子の中からアリョンカチョコレートとスィロクに焦点を当てて書いてみたいと思う。