「ロシアプレミアムチーズ」こと「スィロク」

「アリョンカ」「スィロク」って何?ロシアのおやつが今なぜか大人気ロシアのスーパーの棚に並ぶスィロク。カルディでは冷蔵庫に入っていたが、ロシアでは常温商品として売られていることもある Photo by Y.T.
拡大画像表示

 もう一つは、スィロク。「スィル」はウクライナ語でカッテージチーズを意味する。「オク」は愛称形を意味する。スィロクは「カッテージチーズちゃん」という意味に近いだろうか。カッテージチーズ(ロシア語ではトゥバログ)をチョコレートコーティングしたお菓子で、口触りだけでなく味も大変良い。ロシアでは、どんなに小さなスーパーでも冷蔵コーナーに行けばアイスの近くに置いてあるくらいポピュラーな商品だ。

 スィロクの販売が開始されたのは、1950年代のソビエト時代。戦後復興途中のソ連ではぜいたくなデザートとして販売されたが、すぐに子供たちのお気に入りの高級デザートの一つとして人気を博した。今のロシアでも、一般に広く流通するお菓子である。乳製品が置いてあるコーナーに行くとさまざまな種類のスィロクが置かれている。余談だが、筆者が留学するイスラエルには旧ソ連から移住してきたロシア語話者住民が多いこともあり、エルサレム市内のスーパーで手軽にスィロクを購入できる。

 そんなスィロクが日本でも出回っていると知ったのは、筆者がカルディで買い物をしているときだった。見覚えのあるパッケージと文字があるなと思って手にとってみると、筆者もロシアにいたときに大変お世話になったスィロクだった。そして、値札には「ロシアプレミアムチーズ」と書かれている。確かに、そのネーミングは言い得て妙だと思った。筆者は毎日のように食べていたが、確かに食感と味はどこか高級デザートを彷彿(ほうふつ)させるものだったからだ。

カルディで購入した「プレミアムチーズ」ことスィロク Photo: DOLカルディで購入した「ロシアプレミアムチーズ」ことスィロク。ダークチョコ、ホワイトチョコ、ミルクチョコの3種類がある Photo: DOL

 アリョンカ、スィロクの他にも、ロシアにはさまざまな“おいしいもの”がある。今後も、穴場な食の宝庫であるユーラシア地域の商品が、日本で出回っていくことを祈るばかりだ。