向こう1年の米インフレ率にとって最大のワイルドカードは、中古車や航空チケットではなさそうだ。実のところ、波乱要因はむしろ住宅関連価格に潜んでいる。米連邦準備制度理事会(FRB)や政権関係者は、一過性とみられている足元の物価上昇について、新型コロナウイルス絡みの制限解除に伴う経済再開に起因するものだと強調している。だが、前年比のインフレ率がFRBの目標とする2%にどの程度回帰するかは、家賃や住宅価格の動向が左右しそうだ。ここ数カ月の住宅関連コストの傾向は、一時的というよりは、向こう数年にわたり持続的な物価押し上げ圧力になることを示唆している。FRBがインフレ指標として注目するコア個人消費支出(PCE)価格指数(変動の大きい食品とエネルギーを除く)は6月、前年同月比3.5%上昇し、30年ぶりの高い伸びを記録した。4-6月期の物価上昇はサプライチェーン(供給網)の混乱や一時的な不足、旅行需要の回復(変異ウイルス「デルタ株」による感染が急増する前のトレンド)をおおむね反映している。
FRBのインフレ見通し、家賃高騰が隠れリスクに
住宅関連の上昇率は5月の2%程度から今後数年に4.5%に加速するとの見方も
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