ターボは力強く
スムーズ価格以上の価値を実感

 エンジンは全車1Lの直列3気筒ターボ(98ps/140Nm)。パフォーマンスはスペック以上の実力。ゼロ発進からの実用的なトルク特性は、小排気量ターボとは思えないほど自然である。しかも高回転までストレスなく回る軽快なフィーリングを併せ持つ。個人的には、同じ1Lの3気筒ターボを採用したVW・Tクロスよりも、トルク特性/ターボラグの少ないフィーリングをはじめ総合力は高いと感じた。トランスミッションはスプリットギアを用いたD-CVTを搭載。並のATよりもダイレクト感は高く、アクセル全開にしない限りCVTのネガな部分(=ラバーバンドフィール)はほとんど感じない。

 プラットフォームはDNGAを採用する。トヨタのTNGAに似た共通アーキテクチャーだ。軽自動車からコンパクトカーまでカバーしており、“小は大を兼ねる”という、通常とは逆のコンセプトで開発されている点が特徴だ。フットワークは軽快なクルマの動きと小回りのよさが高く評価できる。ただし、パワートレーンと比べると、粗削りな部分が残るのも事実だ。

 コーナリングは背が高いモデルながらも“上手にロールさせて曲がる”特性。中立付近のステアリングの感触がやや曖昧で、操舵時にワンテンポ遅れて反応が立ち上がる点は残念。操舵初期に“グラッ”と上屋が傾くので、“ドキッ”とさせられる。電動パワーステアリングのアシスト量は、実用域重視でセットアップされていて、軽めで扱いやすい。とはいえもう少し路面からのインフォメーションがあったほうが安心感は高まるだろう。このあたりはダイハツ車全般にいえる部分だ。コペンGRスポーツでは大きく改善されていたので、水平展開を期待したい。