ミシガン州のフォードの工場を視察するトランプ大統領=2026年1月 Photo:Anna Moneymaker/gettyimages
米国・メキシコ・カナダ協定は発効6周年
トランプ関税で関係悪化、7月協議開始に暗雲
2026年7月は米国・カナダ・メキシコによる二つの大きなイベントが予定されている。一つは3カ国の共同開催となるサッカーワールドカップだ。FIFA(国際サッカー連盟)によれば、米国だけで172億ドル(約2.8兆円)の経済効果が見込まれている。
そしてもう一つが、NAFTA(北米自由貿易協定)の後継で7月に発効6周年となるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の見直しで、3カ国による協議が7月に開かれる。
USMCAは第1次トランプ政権下の20年7月に発効した自由貿易協定で、協定発効16年目(2036年7月)に自動失効する。ただし、発効6周年の26年に見直し協議を行い、3カ国が合意すれば協定は16年間延長される。もし合意に至らなければ、失効まで毎年協議が行われることになる。
だが、第2次トランプ政権が打ち出した不法移民や麻薬流入防止を名目の高関税政策を機に米国と、カナダ、メキシコの間では軋轢(あつれき)が強まり、とりわけトランプ大統領が「51番目の州」と呼び「併合」や「購入」発言を繰り返すカナダは、「脱米国依存」を掲げ中国との貿易促進などで動きだしている。
一方の米国は「自国第一主義」の姿勢を基本方針とし、USMCA見直しの際には、原産地規制や中国の「迂回(うかい)輸出」を封じる取り組みの強化をカナダやメキシコに求めると予想される。
トランプ大統領は、26年1月、フォードの工場を視察した際、記者団に対してUSMCAは「重要ではない」と述べ、USTR(米通商代表部)グリア代表も協定脱退をほのめかすなど、交渉の行方は依然として不透明感だ。
このままでは、協定の期限の2036年まで「合意できずに毎年見直し」交渉が続くという泥沼化の事態も懸念される。
見直し協議の動向や結果によっては、北中米に展開する企業がこれまで築き上げてきたサプライチェーンの前提が根底から覆されることになり、日本の製造業を中心に多大な影響を受けることになる。







