メディア興亡#8Photo:123RF

メディア企業の命運を左右するのは、結局のところ広告主の財布だ。部数や視聴率の低下はじわじわと首を絞めるが、広告出稿の停止は一気に経営を揺さぶる。連載『メディア興亡』の本稿では、上場企業を対象に広告宣伝費ランキングを作成した。広告市場全体は過去最高を更新する一方、そのカネの流れ先は大きく変わっている。新聞、テレビ、雑誌の盛衰の鍵を握る「広告主100社」の顔触れを見ていこう。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

広告市場「8兆円」の資金源はどこか
メディアの命運握る広告主の財布

 新聞社やテレビ局、出版社といったメディア企業にとって、広告は単なる売り上げ項目ではない。取材の人員配置や番組改編など、あらゆる投資の行方が広告収入に左右される。利益率が高い広告が維持できれば、視聴率や部数がある程度落ちても持ちこたえられるものの、広告主が一斉に引けば経営は一気に揺さぶられる。

 元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルを巡る問題で、放送収入が激減したフジテレビの惨状は、メディア経営が広告主の判断でいかに激しく振れるかを示す残酷なまでの好例だ。

 厄介なのは、広告市場そのものが縮小しているわけではない点である。

 電通の調査によると、2025年の日本の総広告費は8兆0623億円と4年連続で過去最高を更新した。しかし、伸びをけん引したのは前年比10.8%増のインターネット広告費(4兆0459億円)である。

 ネットが総広告費の5割を初めて超えた一方で、新聞や雑誌の広告費は前年割れ。テレビもほぼ横ばいにとどまっており、旧来メディアにその恩恵は落ちてきていない。

 今回取り上げる上場企業の「広告宣伝費」ランキングは、決算期が25年2月期~26年1月期の企業を対象に、金額の多い順に並べたものだ。これを見れば、単に「どの会社がたくさん広告枠を買っているか」だけでなく、「いまの日本の広告市場を実質的に動かしているのはどの業種なのか」が浮き彫りになる。

 例えば26年3月期の最終損益が6500億円の赤字見通しだと公表し苦境が続く日産自動車は2位に、ユニクロを展開するファーストリテイリングは7位に入った。

 ランキングからは、広告市場の主役が自動車やデジタル・人材プラットフォームへと交代している事実が見て取れる。次ページで、その顔触れを確認していこう。