東証1部からプライム市場に移行するための条件として、「流通株式時価総額100億円以上」という基準が設定された。業種ごとの流通株式時価総額ランキングを作成すると、繊維製品・化学では、26社がプライム落ちの危機に直面していた。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の#23では、その顔触れを紹介する。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
「NEWYORKER」販売会社はワースト9位
繊維製品・化学で流通株式時価総額が低い26社
有名百貨店の紳士服コーナーを歩いていると、白と黒のツートンカラーでデザインされた看板と巡り合う。
「NEWYORKER」――。
その名前が示すように、国際的なビジネスシーンで着用できる日本のビジネスパーソン向けの服というコンセプトの下で、1964年に誕生した日本発祥のブランドだ。
「NEWYORKER」を取り扱うのが、アパレルメーカーのダイドーリミテッド(東京都千代田区)で、その創業は1879年と、140年を超える指折りの老舗企業である。
アパレル業界に襲い掛かったコロナ禍は、この老舗企業にも牙をむいた。2021年3月期の売上高は前年比26.7%減の172.9億円、純損益はマイナス45.1億円となり、19年3月期から3期連続で最終赤字だ。以前からの経営不振に、コロナ禍で歯止めがかからなくなっている。
ダイドーリミテッドが悩まざるを得ないもう一つの課題が、東証の市場再編だろう。東証1部に上場する同社は、ダイヤモンド編集部の試算によると流通株式時価総額が42.0億円。プライム市場に移行するための「100億円以上」という基準値に届いていないからだ。
ダイドーリミテッドだけではない。東証の定義にのっとってダイヤモンド編集部が東証1部上場企業の流通株式時価総額を算出し、ワースト300社を抽出したところ、ダイドーリミテッドと似たような繊維製品・化学の企業が26社ランクインした。これら全ての企業に今、プライム落ちの危機が迫っている。
なお、ダイドーリミテッドの順位はワースト9位だった。他にはどのような企業がランクインしたのか。早速次ページから、ダイドーリミテッドを含めた26社の実名を紹介しよう。