東証再編#19Photo:Stefano Madrigali/gettyimages

東証1部からプライム市場に移行するための条件として、「流通株式時価総額100億円以上」という基準が設定された。業種ごとの流通株式時価総額ランキングを作成すると、コロナの影響が著しいサービス業では、45社がプライム落ちの危機に直面していた。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の#19では、その顔触れを紹介する。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

岐阜・愛知の地元密着メディアがワースト1位
サービス業で流通株式時価総額が低い45社

 総発行部数1000万部突破――。

 今年6月。岐阜県に本社を構え、愛知県など東海地方を中心に生活情報誌を発行している中広が大台突破を華々しく発表した。

 中広は、関西を中心に情報誌を発行する関西ぱどと資本業務提携を結び、同社の情報誌「ぱど」ブランドを引き継いだ。これにより、1994年から中広が手掛けるフリーマガジン「地域みっちゃく生活情報誌」のブランド発行部数が、全国で1015万部に到達したのだ。これは、フリーマガジンブランドとして国内最多発行部数を誇るという。

 1000万部という大台突破を打ち出した中広に今、全く別の“数字の壁”が高くそびえている。

「流通株式時価総額100億円以上」。東京証券取引所が1部上場企業に設けた、新たな最上位の市場として創設されるプライムへの移行基準だ。

 ダイヤモンド編集部の試算によると、中広の流通株式時価総額は11.3億円となった。これは、全ての東証1部上場企業の中で最も低水準となる。プライム移行を望むのであれば、さらに株主還元の強化や企業価値の向上に着手しなければならない。

 同じ悩みを抱えるのは、中広だけではない。東証の定義にのっとりダイヤモンド編集部が流通株式時価総額を算出し、東証1部上場企業のうちワースト300社を抽出したところ、中広と似たようなサービス業の企業が45社ランクインした。これら全ての企業に今、プライム落ちの危機が迫っている。

 なお、前述の中広の順位はワースト1位だった。他にはどのような企業がランクインしたのか。早速次ページから、中広を含めた45社の実名を紹介しよう。