東証再編#17Photo:Stefano Madrigali/gettyimages

東証1部からプライム市場に移行するための条件として、「流通株式時価総額100億円以上」という基準が設定された。業種ごとの流通株式時価総額ランキングを作成すると、コロナ禍で外出減のあおりを受けた小売業では、36社がプライム落ちの危機に直面していた。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の#17では、その顔触れを紹介する。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

中堅コンビニのポプラがワースト7位
小売業で流通株式時価総額が低い36社

 業界再編の波が、コンビニ業界に押し寄せている。

 広島県にルーツを持ち、2020年2月期末で全国473店舗を誇った中堅コンビニチェーンのポプラ。地元の住民に愛されるポプラは今、コンビニ数の飽和に伴う競争環境の悪化に加え、コロナ禍が追い打ちをかけ、4期連続の最終赤字に陥っている。

 こうした厳しい経営環境から抜け出すために、ポプラは大胆な改革に踏み出した。昨年9月、全体の約3分の1となる140店舗を資本業務提携先のローソンに売却すると公表。不採算店舗の整理に着手した。また店舗網再編の影響もあり、今年2月には創業以来初の希望退職を募った。従業員の約15%となる50人を募集し、62人が退職することになった。

 ポプラの置かれた厳しい立場は、収益性が悪化した地方の中堅コンビニが大手チェーンに吸収され、業界再編が加速する未来を予感させる。

 さらに足元では、市場再編というもう一つの荒波がポプラに迫り、次なる選択を強いられようとしている。

 ポプラは、東京証券取引所の1部上場企業だ。東証は新市場のプライムに移行する基準として、流動性が高い株式から算出される「流通株式時価総額100億円以上」の目標を課した。ダイヤモンド編集部の試算によると、ポプラの流通株式時価総額は20.5億円。これを5倍以上に増やさなければ、プライム移行は難しい。

 ポプラだけではない。東証の定義にのっとってダイヤモンド編集部が東証1部上場企業の流通株式時価総額を算出し、ワースト300社を抽出したところ、ポプラと似たような小売業の企業が36社ランクインした。これら全ての企業に今、プライム落ちの危機が迫っている。

 なお、前出のポプラの順位はワースト7位だった。他にはどのような企業がランクインしたのか。早速次ページから、ポプラを含めた36社の実名を紹介しよう。