東証1部上場企業が必ずプライム市場を目指すとは限らない。株価の急落を懸念して口が裂けても言わないが、自社の競争力とアイデンティティーを保つために、市場再編後はスタンダード市場で十分だと考える企業は多い。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の#24では、東証再編を冷ややかに見る企業の本音に迫った。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
プライム残留のふりはせず
堂々と「スタンダード宣言」を
「1部上場企業の多くは思考停止状態だ」
上場企業の資本政策やM&Aのアドバイザーとして、多くの案件に関わってきた金融関係者は、最上位市場のプライムに上場できない「プライム落ち」を恐れ、右往左往する1部上場企業首脳を見てあきれ顔だ。
東証が決めたプライム基準をクリアすることを考える前に、「上場を維持するのか、維持するならどの市場が自社に合っているのかを冷静に考えるべきで、結果的にスタンダードでよいなら、堂々とそれを株主に説明するべきだ」と指摘する。
実際、1部上場企業の中にスタンダードで十分だと考える企業はある。その多くは、プライム市場上場へ向けて準備をするふりをして、スタンダード市場上場の宣言のタイミングを計っているのだ。
スタンダードでよいと考える企業は、どのような理由なのか。本音を聞いた。