「発達障害は甘え」という誤解が生まれる理由

発達障害ではない人が自称する「ファッション発達障害」とは?Photo: Adobe Stock

 

──なぜ、「発達障害は甘え」という誤解が生まれてしまうのでしょうか? 私、何人かの人から「病院に行って相談したら、そりゃあ誰でも発達障害って診断されるでしょ」という声も聞いたことがあって。病気じゃなくて思い込みだ、ちょっとした性格の違いだ、と思っている人が多いんだなあと驚いた記憶があります。

バク:いや、精神科できちんと検査しますから、定型発達の人が「発達障害」と診断されることはびっくりするほどないですよ。

 ただ、今はネット上にも「セルフ発達障害診断」ができるサイトもたくさんありますから、それで調べて「私は発達障害だ」と言う人は増えている気がしますね。

──たしかに。自己申告する人も増加した印象があります。

バク:しばらく前は、「セルフうつ診断」がネットですごく流行ったんですよ。「うつでも恥ずかしくないんだ」みたいな風潮が世間に広まりはじめた頃ですね。それがなぜか今では、発達障害にシフトしているんです。

 おそらく、「生きづらさ」を病気のせいにしたい人がセルフ診断して、「病気だからしょうがないじゃん」と自己完結してしまっているんでしょうね。

──「生きづらさ」を病気のせいにしたい人、ですか。

バク:いや、今ね、そういう「ファッション発達障害」の人、めちゃくちゃ多いんですよ。

「ADHDだから遅刻してもしょうがないじゃん」とか「ADHDだから提出期限破っちゃった」とか文句を言うわりに、病院に行ってちゃんとした治療はしない。

 私も以前、「実際に受診して発達障害と診断されたら、人生が終わっちゃう感じがするから嫌」とか言われたことがあって、ええ~~!? みたいな(笑)。

──なるほど。そういう生きづらさの言い訳に利用する「ファッション発達障害」の人が増えたのも、「甘えじゃないか」という誤解が生まれた要因のひとつかもしれませんね。

バク:そもそも、本当の発達障害の人は、自分がそうであることに全く気がついてない場合が多いんですよ。私自身も、医者になってからたまたま検査を受けてはじめて、「ああ、あの生きづらさってADHDのせいだったのか」と気がついたくらいですから。

 なので、自分が発達障害であることをやたら主張してくるわりに一向に病院へ行く気配がない、治療する意思がなさそうな人を見かけると、「あれ、この人、ファッション発達障害なんじゃ?」と私は疑ってしまいますね……。