「女子美付属」の志願者数が年々増えていった理由電子黒板が教室の真ん中に据わっている学校は意外と少ない。女子美付属では、動画視聴や生徒の作品発表などで効果的に活用されている。この2年間でICT化が一挙に進み、先生も生徒もiPadが手放せない  写真提供/女子美術大学付属高等学校・中学校

ひと味違う女子美付属のカリキュラム

――いまの付属校の校舎ができたのはいつのことですか。

石川 2011年に都立総合芸術高校(新宿区富久町)の新校舎ができたタイミングに合わせたと聞いています。やはり不安だったようです。きれいな新校舎となっても、それで志願者が増えた、というわけではなかったようで、やはり教育は中身なのだなと先生方も感じたようです。

 私が赴任する前に、英語の授業を1単位増やすことは決まっていました。私学にありがちな話ですから、どうする気か尋ねました。「英検2級を全員取らせるとかTOEIC何点とか目標にするの?」と言ったら、ここでまた若手の英語の先生が、「校長、違います! 英語の美術用語を使って英語で美術を学ぶんです、そして英語で自分の作品を語らせて……」と、夢を語るの。

「あら、じゃあぜひやってよ」と言ったら「ネイティブの先生を増やしてください」と。事務室と相談したら、直接雇用した方が先生にもメリットがあり、しかも学校の負担が減る仕組みがあるというので、学校法人と交渉しました。おカネとヒトを取ってくるのが私の仕事だと思って。

――好循環に入ってきましたね。志願者数も2018年の545人から、683人、796人、21年には926人と着実に増やしています。

石川 ICTと英語教育の姿が見えてくると、2月の入試の志願者が増えて、ちょっと元気が出る。広報の作った「ICT教育」や「Art English」の動画もかっこいいし、「やったね!」って。

 学校法人の理事会も、少子化なのに倍率が上がってきて驚くわけです。そこを強調して、教員を増やしてもらいました。職員会議で「あなたたち改革するならいまよ!いまなら何でも大学(学校法人)は言うことを聞いてくれるから!」って(笑)。おかげで各部署からどんどんアイデアが出てきました。