オーストラリアが米国からの技術供与を受けて原子力潜水艦8隻の建造を決めたことで、米国は中国に対する制海権を強化できそうだ。また、インド太平洋における原潜による防衛網の構築を促し、中国の海洋進出に対する抑止力となる可能性がある。中国は今年の国防支出が2000億ドル(約22兆円)を超えるなど、近年急速に軍拡を進めており、海軍の規模では米国を抜いた。だが、米国は秘匿性の高い強力な潜水艦を有しており、水面下での優位性を維持している。米国は豪州に技術供与し、防衛関係を深化させることで、自国のアジア艦隊を事実上、増強できることになる。米豪両国は中国を抑止するという目標で一致している。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の国防戦略・国家安全保障プログラム責任者、マイケル・シューブリッジ氏は「これらは極めて強力な攻撃兵器であるため、インド太平洋における長期的な軍事バランスがリセットされることになる」と指摘する。