急速に縮む日本こそ、世界中に注目される「モデル」

 ご存じのように今、日本の人口が凄まじい勢いで減っている。人口のピークは2008年の約1億2808万人で、2020年は1億2622万人なので、13年間で約186万人減っている。この勢いはさらに増していて、毎年、鳥取県の人口と同じくらいの人口が減っていく。ということは、消費者・労働者も急減するので、日本のGDPの多くを占める内需も急激に弱っていく。会社を存続させるため低賃金が定着し、さらに消費が冷え込むという悪循環に陥って、財政もボロボロになっていく。国家衰退の典型的な道を歩んでいるのだ。

 ちょっと前まで、SF映画などでは世界の人口が増えすぎて人類が宇宙を目指すなんてストーリーが定番だったが、実は最新の研究では「逆」の現象が起きると言われている。世界の人口は2064年にピーク(約97億人)を迎えた後、減少に転じて2100年までに日本やイタリアなど先進国を中心に、23カ国では人口が半減する、と米ワシントン大学保健指標・保健評価研究所などが予測しているのだ。

 なぜこうなるのかというと、社会が少しずつ豊かになっているからだ。

 女性が教育を受ける機会が増えて社会進出が進むと、支援や法整備などが行き届かない限り、どうしても少子化が進行する。避妊などの医療も普及する。その証に、人口が増えているアフリカでも、都市部では少子化が進行して、アフリカ日本協議会の「高齢化に向かいはじめたアフリカ社会」によれば、ナイロビの出生率は2.7と先進国とそれほど変わらない。エチオピアの首都アディスアベバの出生率は日本に匹敵するほど低下しているという。

 つまり、「人口減少」はこれから全世界が直面する非常に大きな問題なのだ。だから、「きたるべき危機」にいち早く突入している日本に世界が熱い視線を送っている。