Amazonには時々「サクラ」がいる

 それは、製品の良い悪いにかかわらず、レビュー評価を上げようとする、いわゆる「サクラ」ユーザーがいるからだ。

 一般的にサクラとは、公演主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面や公演全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を作り出したりするニセの客を指す。ECサイトの場合、メーカーや販売者に、利益をチラつかされて、本当よりも良い評価を書いてしまう客をサクラと呼ぶ。

 ECサイトのサクラの場合、販売者にとってはお金を受け取って製品を売っている相手なので“ニセの客”ではないのだが、例えば割引、あるいは高額な(全額、場合によってはそれ以上の)キャッシュバックなどにより、評価を本来よりも高い方へと誘導された者というのが定義になるだろう。

 こうしたサクラを雇う業者、そしてサクラとしてレビューを書くユーザーがいるために、本当は使い勝手が悪かったり低品質だったりする商品が、一見“ユーザー評価の高い商品”として目に留まることがあるのだ。

Amazonの規約では、購入者のレビューで販促となる投稿を行うことは禁じられている。Amazonの規約では、購入者のレビューで販促となる投稿を行うことは禁じられている

 サクラユーザーのレビューがあるから必ず製品の質が悪いとは限らない。

 多少低価格でまあまあ良い品質の製品を作ったとしても、AmazonのようなECサイトでは山のような類似製品に埋もれてしまい、手に取ってもらうことも難しい。海外の名も知れぬメーカー製品などではなおさらだろう。そこで、モニターも兼ねてサクラユーザーを募るメーカー・業者もいる。「とにかく手に取って、評価してもらえば製品の良さを分かってもらえるはず」、そう期待して、できるだけ大量の口コミを作り出すための手段、という面もあるのかもしれない。

 しかし、こうしてできあがったサクラレビューは、ユーザーが製品の長所・短所を正直に記載したものではない。良いところだけを取り上げたり、都合の悪いところを無視したり、あるいは実体を全く無視して高評価を付けることになるわけで、健全に商品の姿を取り上げたレビューの集まりになるとは言いがたい。

 そして、本来それはAmazonのコミュニティガイドラインでも禁止されている事項だ。