夫が70歳以降の
Jさん一家のキッシュフローは?

 夫が70歳まで働くことから、年金は70歳からの受け取り(繰り下げ受給)になります。これにJさんの収入が3年間は加わります。一方、毎月の支出は住宅ローンが完済、2人の子どもも社会人になっているので、生活費は月20万円前後に減少しているはずです。

 20万円前後に減少していれば、夫の年金とJさんの収入で、Jさんが働く65歳までの間は余裕のある家計収支になるはずです。Jさんが65歳で仕事を辞め、年金生活に入ってもご夫婦の年金だけで毎月の支出はほぼ賄えると思われます。

 つまり、夫は70歳、Jさんは65歳まで働けば金融資産の2896万円とJさんの退職金が老後資金として残ると思われます。2人の子どもを中学から私立へ進学させても過度に老後資金を心配する必要はないでしょう。

 相談文を見ると毎月の支出にガソリン代の記載があることから、車をお持ちかと思います。であれば、車の買い替えも今後なさることでしょう。免許返納まで4回程度買い替えがあり、1回あたり250万円とすれば4回で1000万円です。

 すると金融資産は2896万円から1896万円に減少することになります。先程確認したように、Jさん一家の場合は夫が70歳になって以降も毎月の生活費で金融資産を取り崩す可能性は低く、仮に取り崩したとしても少額のはずです。

 したがって1896万円でも老後を心配する必要はないと思いますが、心もとないようであればこの試算を教訓として、締めるところは締めて無駄な支出をせず、貯蓄を増やすようにしましょう。

 相談文には「厳しいアドバイスのほど、よろしくお願いいたします」とありますが、いただいたデータから察するに家計管理はかなり上手くやっている様子なので、現状キープで大丈夫でしょう。歳を重ねてからの苦労をより少なくしたければ、今後、無駄使いをせずに貯蓄にコツコツ回していくようにしましょう。

 気になる部分は通信費と子ども共済ですね。通信費は高めの印象ですし、子供共済は不要です。自治体にもよりますが、子供の医療費は一定の年齢まで無料ですから、少額といえども無駄です。

(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)