日本の岸田文雄首相は就任後わずか1週間でつまずいたことを不愉快に思っているかもしれない。だが、日本株の投資家はもっと安心して良さそうだ。 岸田氏は10日、キャピタルゲインや配当への課税を引き上げる計画はないと述べた。岸田氏は先週4日、増税を検討する可能性があると発言。岸田氏の就任以来、既に下落傾向にあった市場の警戒感が一段と強まった。ソーシャルメディアでは「岸田ショック」という新たな用語が生まれた。そうした市場の審判は新首相が回れ右する後押しになったかもしれない。東証株価指数(TOPIX)は11日、1.8%上昇した。 先週、岸田氏が安倍晋三元首相の成長促進政策の一部を撤回する可能性を示唆し、市場は大きく反応したが、その理由は容易に想像がつく。安倍氏が2012年に首相に就任し、財政出動、金融緩和、構造改革を3本柱とする「アベノミクス」を打ち出して以来、日本の株式市場はアジアで最高のパフォーマンスを上げてきた。1株利益(EPS)の増加がけん引役となり、TOPIXは2倍超に上昇した。外国人株主の比率も2012年の26.3%から拡大し、今年は30.2%に達している。これは、コーポレートガバナンス(企業統治)改善の兆しと、投資家に優しい規制環境が後押しした結果だ。